KNOWLEDGE
地震大国である日本は度々大きな地震に見舞われてきました。阪神淡路大震災、東日本大震災や熊本地震。どの地震も住宅の倒壊が目立ちました。テレビで流れる全壊した瓦屋根の家の映像によって、「瓦は重いから地震に弱い」という印象を持った方は少なくないかもしれません。しかし、問題は瓦屋根にあるのではなく、建物の構造にあるのです。倒壊している家のほとんどが構造が脆弱な家や、地盤の弱い土地に建っていた家です。地震による建物倒壊の原因は屋根だけにあるのではないのです。新しい木造、瓦の家は十分な耐震性能があることが立証されています。
耐震性能は、「1.屋根材と建物との強固な結合」と「2.屋根材の軽量化」が鍵となります。瓦屋根は現在、かつての土葺工法に変わり、引掛桟瓦葺工法が主流となっています。引掛桟瓦葺工法では、瓦は釘で桟木に確実に固定される為、地震による落下の被害は大きく低減します。
軽量化の面は、瓦自体の軽量化や引掛桟瓦葺工法による瓦屋根の総重量の軽減が図られており、耐震性能は優れたレベルに達しています。
瓦は他の屋根素材に比べて熱容量(熱を蓄える能力)が大きい為、遮熱効果が高いです。つまり太陽の熱を和らげ、部屋の温度上昇を防ぐ為「熱くなりにくい=夏でも涼しい」のです。
瓦は高温で焼き上げられた為、他の屋根素材に比べて熱伝導性が小さく断熱効果に優れています。つまり、内部の熱を逃がさない働きがあるのです。
瓦屋根には瓦の重なり部分に空気だけが通れる通気口があり、自然に換気をしてくれる為、屋根裏の温度や湿度を調整してくれます。また、屋根下地に断熱材を施工することで、室内の熱損失を低減し、四季を通じて快適な居住環境の確保に役立ちます。夏に涼しく、冬に暖かい瓦屋根は経済的にも優しいということになります。
住宅建材(床、壁、天井)などから発生する有害物質(ホルムアルデヒド等)によって起こるシックハウス症候群や、ダニやカビなどが症状を悪化させるアトピーや小児喘息。瓦屋根は、このような現代病予防にも効果的と言われています。このような現代病を防ぐには、有機物質が発生する材料を使わない、有害物質を吸着する材料を使うことが大切になります。瓦は自然素材かつ無害な素材であり、備長炭のように有害物質を吸い取ってくれる働きがあります。さらに通気性も良いので、屋根裏の温度上昇を防いで、ダニやカビの発生を抑える効果もあります。